こんにちは。沖縄市ゼロカーボン推進窓口事務局です。

沖縄市は、2050年までに二酸化炭素の実質排出ゼロとする「ゼロカーボンシティ」に挑戦することを宣言しており、脱炭素社会の実現に向けて、市民や事業者の皆さんと一緒に学び、持続可能な社会を目指す取組みを進めています。

その一環として、沖縄市では令和6年6月から令和7年3月までの期間に、コザ小学校と連携し、「給食残渣堆肥化(コンポスト(注1))実証実験」を行いました。給食の食べ残しを減らしながら環境について学ぶ、コザ小学校5年生のチャレンジをご紹介します。
(注1)コンポスト:食品の食べ残しや生ごみを、微生物の働きにより発酵・分解して堆肥を作る仕組み

はじめに、給食の年間食品廃棄量についてご存じでしょうか?


学校給食から発生する生ごみは、年間どのくらい廃棄されているのかご存じでしょうか。
環境省の調査によると、児童・生徒1人あたりの食べ残しが年間7.1kg、調理時に発生するヘタや皮などの調理残渣を含めると、17.2kgの食品が廃棄されています。
(出典:環境省https://www.env.go.jp/press/100941.html

活動内容

6月:第1回解説教室「コンポストの基本と仕組みについて」


解説教室の講師は、宮里さん(沖縄こどもの国)と宮城さん(沖縄県地球温暖化防止活動推進員)。
コンポスター(注2)の種類や、生ごみから堆肥ができる仕組みを学びます。
大前提は食べ残しを減らすこと。意識が芽生えた子どもたちの行動により、1日あたり約2.5kg(5年生1クラス分)あった給食の残りが、約0.75kgまで減りました。その後も、給食の残りは1.0kg以下になっています。
(注2)コンポスター:生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の働きで分解・発酵させて堆肥にする容器や機械

給食の残りを計量
第1回解説教室の様子

6月27日:木製コンポスターの制作

木製コンポスターを作ります。釘を打ったり、材料を組み立てたり。
組み立てたコンポスターに、土と給食の残りを入れて混ぜたら完成です。
コンポスターを作りながら、「コンポストが地球温暖化にどう役立つのか」もあわせて学びます。

木製コンポスター制作の様子
土に入れた給食の残りを混ぜる様子
完成した木製コンポスター


7月:第2回解説教室「分解と発酵の仕組み」

コンポスターの中では何が起きるのか。土が温かくなったり、給食の残りが消えたり。
微生物の働きによる分解と発酵の仕組みについて学びます。

第2回解説教室の様子


8月(夏休み):経過観察

夏休みは給食がありません。
子どもたちは交代で、家庭から出た生ごみをコンポスターに入れて、保護者と一緒に混ぜる作業に取り組みます。

9月:第3回解説教室「土について」

土ができる仕組みや、沖縄の土の特徴について学びます。
また、コンポスターに使用している基材は、県内で発生する木屑を用いたものが選ばれていることを知り、地産地消(注3)について考えます。
(注3)地産地消:国内の地域で生産された農林水産物(食用に供されるものに限る。)を、その生産された地域内において消費することおよび地域において供給が不足している農林水産物がある場合に、他の地域で生産された当該農林水産物を消費すること。

第3回解説教室の様子

10月13日:沖縄市ゼロカーボンフェスティバルでの活動発表


これまで学んだことや、コンポスト活動の経過について資料をつくり、ステージイベントで発表します。
出展ブースでは、コンポスターの展示を行い、訪れる来場者へ、コンポストの紹介や管理方法の説明を行いました。
(参考:沖縄市ゼロカーボンフェスティバル

資料づくりの様子
ステージ発表の様子
出展ブースの様子

10月:堆肥の熟成期間

ここからは給食の残りを入れません。しっかりと堆肥を熟成させます。

11月:野菜の植え付けと経過観察

できあがった堆肥を使って、実際に野菜を植え付け、成長を見守ります。

野菜の植え付けの様子
野菜の植え付けの様子
野菜の成長の様子

3月:収穫

コンポスト活動終了。
十分に成長した野菜を収穫しておいしくいただきます。



コンポスト活動を通じて

コンポスト活動を通じて、子どもたちが感じたこと、学んだことをご紹介します。

・給食を残さず食べるようになった。
・嫌いな野菜も食べるようになった。
・「土に混ぜた給食の残りが分解されてなくなっている」ことや、「臭いと思っていた生ごみのにおいがヨーグルトのような発酵臭だった」ことなどを体感できた。
・土の仕組みと堆肥化の過程がわかった。
・なかなか育たなかった野菜が、堆肥を入れるとぐんぐん育って、成長が楽しみだった。
・自分たちでコンポストを管理したことで、解説教室で学んだ内容を実体験できた。
・沖縄市ゼロカーボンフェスティバルで発表するため、地球温暖化について調べたりして、地球温暖化防止対策や環境問題への理解が深まった。
・発表は緊張したけど、この活動をもっと頑張りたいと思った。
・何となく残していた給食が地球温暖化に影響していること、給食の残りをコンポストで再利用することで、地球温暖化防止対策につながることがわかった。

さいごに

講師の宮里さんからひと言

意識して給食の食べ残しを減らし食品ロスに取り組めたこと、コンポストを混ぜながらさまざまな発見があったこと、経験したことが知識として身についたことなど、子どもたちにとって大きな収穫になったと思います。
コンポスト活動の継続のためにも、今回の活動が学校全体に広まるような仕組みづくりを考えていきたいです。