こんにちは。沖縄市ゼロカーボン推進窓口事務局です。
沖縄市では、2025年までに二酸化炭素を実施排出ゼロとする「ゼロカーボンシティ」を宣言しており、脱炭素社会の実現に向けて、市民の皆さんと一緒に学び、持続可能な社会の実現を目指す取組みを進めています。
その一環として、沖縄市では親子で楽しみながら環境について学べる「親子向け普及プログラム」を開催しました。今回は、そのプログラムの一つである「倉浜衛生施設組合」の施設見学ツアーをレポートします。
倉浜衛生施設組合とは?
倉浜衛生施設組合は、沖縄本島の中部都市圏を形成する沖縄市・宜野湾市・北谷町の2市1町で組織され、これらの地域から排出される一般廃棄物(ごみ)の共同処理を目的に昭和44年12月26日付で設立された一部事務組合(注1)です。
当初はごみの共同処理を目的に、構成市村の名称を冠して「コザ市・宜野湾市・北谷村清掃施設組合」として発足しました。
昭和52年に、し尿の適正処理の観点から宜野湾市伊佐浜地先へし尿処理場(注2)を建設しました。その際、ごみ焼却処理場の所在する沖縄市倉敷の「倉」と、し尿処理場の所在する宜野湾市伊佐浜の「浜」を組み合せて、組合名称を「倉浜衛生施設組合」と改め、し尿処理を含めた一般廃棄物の共同処理を目的に運営されています。
(出典)倉浜衛生施設組合組織概要より引用
(注1)一部事務組合とは、地方公共団体が、その事務の一部を共同して処理するために設ける特別地方公共団体
(注2)し尿および浄化槽汚泥等を処理し、公共用水域へ放流するための施設
見学ツアーの流れ
見学ツアーは、施設の役割やごみ処理の仕組みを学ぶビデオ視聴からスタートし、ごみ処理の工程を見学しました。
※見学順に記載しているため、実際の工程順とは異なります。
■ 施設紹介ビデオ視聴(施設の歴史・役割)
施設紹介ビデオの視聴を通じ、倉浜衛生施設組合の歴史や地域での役割を事前に知ることで、この後の施設見学への理解を深めました。ビデオを視聴したあとは、実際にごみ処理の工程見学に入ります。

■ 発電工程(蒸気タービン発電機)の見学
発電工程では、ごみ焼却時に発生する熱エネルギーを利用し、蒸気タービン発電機で電力を作り出す工程を見学しました。この発電システムは、施設内で使用する電力をまかなうだけでなく、余った電気を小売電気事業者に売ることで、エネルギーを有効活用しています。
ごみを単に焼却するだけではなく、熱エネルギーから電気を作り、施設内で使用したり、余剰分を売電する仕組みを知り、「焼却されたごみが電力として有効活用されている」という新たな発見がありました。


■ 燃焼溶融工程(ガス化炉・溶融炉)見学
燃焼溶融工程では、ごみが焼却され、再利用可能な資源に変わる工程を見学しました。
可燃ごみは、ガス化炉(500~600℃)・溶融炉(1300℃~1400℃)で高温処理されることにより、ごみが灰や溶融スラグ(再利用可能な資材)に変わります。
また、ごみを溶融する際の熱と蒸気を利用して電力を発生させる仕組みにより、最大6,000kWの発電が行われています。集められたごみが、灰と再利用可能な資源に変わることに驚きました。


■ 運転制御工程(中央制御室)見学
施設内の機械や装置の稼働状況を集中監視している、中央制御室を見学しました。
ここでは、複数のモニターに施設内の機械や装置が映し出され、リアルタイムで機械や装置の状態を確認しています。
中央制御室では、ごみを適正に処分するために、各工程において様々な役割を担う機械や装置が、稼働状況をモニタリングしつつやコントロールし、安全への配慮が徹底されている様子が印象的でした。


■ 受入供給工程(プラットフォーム・ごみピット・ごみクレーン・クレーン操作室)見学
受入供給工程では、ごみが施設に搬入されてからごみ処理が始まる前までの工程を見学しました。家庭や事業所から運び込まれたごみは、それぞれの貯留ヤードに一旦降ろされた後に、処理にあたって危険なものが取り除かれます。次に、6つの大きな扉からごみピットに投入され、ごみ処理が始まります。
施設には、各家庭や事業者から年間80,750トンのごみ(注3)が搬入されています。これは、1日あたり約221トンに相当し、家庭ごみ1袋(1kg換算)で考えると約22万袋相当になります。ごみピットには、山のように積み上げられたごみが貯留されています。
この量を減らすために、ごみの分別やリサイクル、リユースの意識を高めることが大切さだと感じました。
(注3)令和5年度ごみ搬入および処理状況年報より抜粋




■手選別工程(びん類手選別コンベヤ・缶類選別コンベヤ)見学
手選別コンベヤでは、資源ごみのびん・缶類を手作業で選別する工程を見学しました。
コンベヤという名前から、機械での選別を連想される方も多いと思われますが、実際に見学をすると、作業員の方々が手作業で、リサイクルできるものとそうでないものを仕分しており、「捨てたら終わりではなく、捨てた後、どのように処理されているのか」までをを考えながら、捨てるごみを減らし、分別することの大切さに気づかされました。


■ごみの計量機(屋外)見学
最後に、収集車がごみ搬入をする前に、ごみの量を量る計量機を見学しました。
計量機で搬入の前後のごみ収集車の重さを計量し、差し引きした分が搬入されたごみの重さとなります。

見学ツアーを終えて
施設を見学する中で、まず驚いたのはごみの量でした。私たちが普段何気なく捨てているごみが、こんなにも大量に集まり、処理されていることに圧倒されました。
大量に集まったごみが、巨大な機械によって仕分け・処理されていく様子を間近で見ることで、ごみの行方や環境問題を身近に感じることができました。
また、見学の中で特に驚いたのが、ごみを処理するためには機械の力だけではなく、多くの人の力が必要なことでした。「リサイクルさえすれば大丈夫」だと思っていましたが、実はリサイクルにも人の手がかかっているほか、分別が不十分だったり、リサイクルできないものも多かったりと、リサイクルにも問題は少なくありません。
今回の見学は、「どうすればごみを減らせるか」を考えるきっかけになりました。リユースや分別の工夫、無駄なごみを出さない買物の仕方など、日常生活でできることはたくさんあります。
倉浜衛生施設組合では、スタッフの方が分かりやすく説明もしてくれるので、大人も子どもも学びの多い時間を過ごすことができます。
みなさんも、実際に施設を見学してみて、私たち生活に身近なごみについて、一度考えてみませんか。
倉浜衛生施設組合の施設見学について
倉浜衛生施設組合では、平日(月曜日から金曜日)の午前9時~午後5時の間で施設見学が可能です。(事前予約制)
興味のある方は、ぜひ一度見学してみてください。
※詳細は倉浜衛生施設組合のホームページからご確認ください。
倉浜衛生施設組合ホームページ https://www.kurahama.or.jp/visit/index.html
(参考)倉浜衛生施設組合ホームページ
倉浜衛生施設組合(冊子)